対象別看護のキホンへようこそ

近年は、医療の現場において看護師の「専門性」が求められています。
例えば、高度な治療が行われる場合は、それに対応する看護師の知識や技術が必要になってきますし、
より高度なスキルが求められます。
治療的な専門看護師としては、保健師や助産師のほかに、精神看護、がん看護、地域看護、老人看護、
小児看護、母性看護、クリティカルケア看護、感染看護、慢性成人病看護などがありますが、
ここでは、人間の発達段階における対象別看護を取り上げました。

再就職を考える時、「小児看護」、「母性看護」、「老年看護」、
「終末期看護・疼痛緩和のための看護」、「在宅看護」というように
専門性のある職場への就職も考えてみてはいかがでしょうか。


実際看護する機会があると考えられる内容を意識してまとめましたので、 予備知識として、学習の取り掛かりとして参考にしてみてください。

小児看護

小児看護の対象となるのは、「小児」とその「家族」です。
そして、年齢的には、出生前から青年期頃までの子ども、
つまり、出生前期、新生時期、乳児期、幼児期、学童期、思春期、青年期の子どもが対象となります。

小さな子供は大人のように免疫力が低く、抵抗力がないので、ちょっとしたことで病気にかかったり、
その病気が悪化してしまったりしてしまいがちです。
看護師の、より細やかなケアがとても必要ですから、
小児看護の分野におけるより専門的な高度な知識の看護提供が必要になってきます。

看護師は、病気に対するケアだけでなく、
子どもの発達レベルに応じた対応をし、成長を促すことが必要ですし、
年齢にあわせた愛情をあたえ、精神的にも健やかな成長を促し、見守る事も大切です。
入院が長くなるような子どもに対しては、生活の世話なども必要です。
子どもの頃に受ける愛情は、成人になってからの人間性にも大きく関わってくるので、
看護師の子どもに対するかかわり方はとても重要で、将来を見越した関わりを持つことが大切です。

さらに、小児看護では、その家族へのケアも同時に必要です。
家族にとって小さな子どもの病気はとても大きな不安になるものです。
ですから、看護師は、家族の不安を和らげるような対応が必要です。

また、子どもの健康の問題に、家族や地域の影響が大きく関わっている事もあるので、
状況によっては、看護師が家族や地域への働きかけを行う事も必要になってきます。

母性看護

母性看護とは、周産期の妊婦さんとその家族、思春期の男子、思春期の女性、
そして、全てのライフステージの女性を対象にしています。

妊婦さんの生理的変化や過程が健康な状態で進むようにサポートしたり、
子どもを出産したお母さんに対しては、子どもの健全な発育や発達のために、
子どもに愛情を持ち、母親や父親の役割を成すことができるように支援したりします。

そして、思春期から老年期までのライフサイクルの各期において、
健康的な生活を維持し、向上させるために、
女性の特徴を捉えて働きかけるなどをし、
いってみれば女性の一生におけるありとあらゆる観点にたち、
その時々で悩みや病気、不安を抱える人をケアしていきます。

母性看護を行う主な場としては、産婦人科外来や産婦人科病棟、助産所などが挙げられます。

老年介護

老年期の開始は、一様に決まっているわけではありません。
「老」とは、歳をとることによって生じる衰えをあらわしていて、
「老年期」とは、「老いの始まる時期」や「老いの症状がはっきりと現れる時期」と定義されています。

そして、老化によって生じる身体上の変化や、社会生活上の変化には大きな個人差がありますが、
一般的には、老人福祉法によって定められている65歳以上、
老人保健法によって定められている75歳以上を老年期としていることが多いです。

ただ、前にも述べたように、老いの始まる時期や、
自らが、或いは周囲の人が、対象者に対して老いを感じる時期は様々ですし、
平均寿命が延びた現在は、元気で活動的な高齢者も多くなっています。

医学的にみて加齢に伴う身体機能の低下が顕著にあらわれるのも、
現代の高齢者の場合は75歳以上の人が多いので、
75歳以上を高齢者とし、老年期の開始にすべきとの意見があったり、
老年期を「前期老年期」と「後期老年期」にわける考え方もあります。

老年看護を行う場としては、病院や高齢者のための福祉施設、そして在宅などがあります。

老年期の看護では、疾病による身体の不自由さだけでなく、
老化によって生じる様々な症状に対しても支援していく必要があります。
そして、何よりも高齢者の意思を尊重すること、
その人らしく健やかに老いることができるように支援していくことが必要で、
そのために高齢者それぞれの身体や生活機能を維持できるように支援していくことが重要です。

在宅看護

在宅看護は、在宅で医療を継続する必要がある人やその家族を対象に行います。

在宅看護を必要としている人は、65歳以上の高齢者が8割と多く、
そのうちの6割が75歳以上です。
しかし、障害を持っている人、病気を抱えている人は子供から高齢者まで様々ですし、
その病気や障害の種類、程度、健康レベルも様々です。

在宅看護を必要とする患者さんの中で、最も多い疾患は、循環器系疾患で、
そのうちの6割は脳血管障害、そして、最近は、筋骨格系及び結合組織疾患、
神経疾患、悪性新生物の患者さんも増加しています。

在宅看護で療養を続けている患者さんを介護しているのは、
主にその家族ですが、在宅看護の看護師は家族のケアを行っていく事も必要ですし、
家族と共に介護を行う介護職との連携やサポートも必要です。

在宅看護の特徴としては、
患者さんの生活の場で行う看護であるので、地域の特殊性の影響を受けることや、
保健・医療・福祉など様々な機関を利用する患者さんが多いのでネットワークが必要なことなどがあげられます。

また、在宅では、患者さんのすぐそばに医療者が常駐していないことや、
看護用品などの療養に必要な物品が十分にそろっていない場での看護提供を行うという点も
大きな特徴となっています。

このような特徴的な看護の場で、看護師は患者さんに対して医療を提供していきますが、
患者さんだけでなく、家族からも信頼されることが必要で、家族の抱える不安や悩みに寄り添っていくことが求められます。

終末期看護・疼痛緩和のための看護

終末期看護・疼痛緩和のための看護を「緩和ケア」といいますが、
緩和ケアは、あらゆる治療を施しても治癒が望めないと医師が判断した悪性腫瘍、AIDSの患者さんに対して行われています。

現代の日本では3人に1人が、がんで亡くなっているといわれています。

がんの患者さんは、がん自体の症状だけでなく、痛みや倦怠感などの身体的な症状や、
悲しみや落ち込み、将来への不安など様々な苦痛を抱えています。
そのような患者さんに対して、様々な苦痛が少しでも緩和されるように支援し、
家族へのケアも同時に行います。

WHO(世界保健機構)による緩和ケアの定義とは、
「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、
疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して
きちんとした評価を行い、それが障害とならないように予防したり対処したりすることにより、
患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善するためのアプローチ」となっています。

疼痛ケアを行う医師、精神症状に対するケアを行う医師、
緩和ケアを専門に学んだ看護師、医療ソーシャルワーカー、栄養士や薬剤師など、
在宅での看護の場合は、訪問看護師や訪問介護師などとも連携し、
患者さんのQOLを改善し、家族の抱える不安や悩み、疲労を緩和できるよう関わっていきます。

緩和ケアは、一般病棟、ホスピス、在宅などで行われています。

そして、緩和ケアというと、「最期の治療」と捉えがちですが、決してそうではありません。

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