在宅看護の主な実践

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(1) 在宅酸素療法(HOT : home oxygen therapy)

① 在宅酸素療法の流れ

医師が委託業者に指示し、業者から連絡が入ると、患者さんの自宅へ搬入されます。
患者さんやその家族に対して使用上の注意や消耗品について業者から説明があり、使用が開始されます。
年一回、業者による器具の定期点検があります。
故障の場合は、緊急連絡にて対応してもらうことができるので、故障の場合の緊急連絡先を確認しておくようにします。

② 在宅酸素療法を行う場合の家の準備と注意点

一戸建てであれば、主たる居室を1階にします。

整理整頓をし、酸素供給装置の設定場所を決めます。
酸素供給装置は、安全な場所に決めることが第一です。
周囲の家具や壁から10センチ以上離れ、火元からは2m以上はなさなければなりません。

室温は、夏は25℃以下、冬は5℃以上に保つようにします。

暖房器具は、酸素供給装置のそばに置かないようにします。

カーペットはダニが発生しやすいので避け、掃除を徹底します。

化学繊維の衣類やリネンは静電気が発生しやすいので、使用しないようにします。

タコ足配線は避けます。

酸素の近くでの喫煙は禁忌です。

③ 在宅酸素療養の必要物品

酸素供給装置(酸素濃縮装置、酸素ボンベ、液化酸素装置の3種類)、
減圧弁、流量計、酸素チューブ、加湿器、鼻カニューレまたは酸素マスク、パルスオキシメーター

●手入れ

加湿器: 週に一回、内部を洗う精製水を交換します。

フィルター: 一日一回水洗いをし、週に一回液体洗剤で洗って日陰干しをします。

鼻カニューレ: 汚れは綿棒で取り除き、1~2週間に一回水洗いをし、月に一回交換します。
④ 在宅酸素療養の導入時及び導入後の観察

患者さんや、その家族との会話から、状態を把握します。

患者さんの呼吸状態を観察し、医師の指示の酸素流量を設定し、
確実に流れているかを確認します。

酸素飽和度を確認します。

⑤ 在宅酸素療法の指導内容

1) 症状の自己観察方法

低酸素症状・高炭素ガス症状に注意するよう指導します。

低酸素症状: 脈拍増加、頻呼吸、呼吸困難、チアノーゼ、発汗、頭痛、
      消化器症状、精神不安、眠気、意識障害など

高炭素ガス症状: 脈拍増加、血圧上昇、発汗、頬の紅潮、呼吸困難、
        頭重感、頭痛、不眠、手指の振戦、意識障害など

2) 呼吸器感染症の予防

うがい、手洗いを十分行うこと、部屋の換気を行うこと、
適度な運動とバランスのよい十分な食事で体力を維持し、免疫力を高めるように指導します。

3) 日常生活での注意点

・食事

一回の食事量は多くならないようにし、間食で不足する栄養を補うようにします。

体重減少に注意します。

食事はよくかんで食べるようにします。

腸内ガスが発生しやすい炭酸飲料やイモ類、ねぎ類などの食品は避けます。

体力低下時、息苦しい時は、少量でカロリーの高い食品を摂取するようにします。

・排便

暖房機能のついた洋式トイレが理想です。
(和式トイレや冷たい洋式便座は避けます。)

努責(いきむこと)は避けます。

・入浴

延長チューブや脱衣所に携帯用酸素ボンベを用意し、
「入浴時の酸素流量」の指示に従って酸素吸入しながら入浴します。

冬季は、温度差がないように浴室と脱衣所を温めます。

内釜タイプは、火を止めてから入ります。

食事の前後一時間は入浴を避けます。

負担の少ない入浴法を指導します。

* 負担の少ない入浴法とは

 短時間、シャワーチェアを使用する、肩まで浸からない、
 状況に応じて清拭やシャワー浴で済ませる、洗髪や身体洗いは介護者に行ってもらうなど。

4) 緊急時の対応

緊急時、本人や家族から呼吸困難との連絡を受けたら、顔色や意識レベルを確認します。

患者さんの身体は、セミファーラー位とし、落ち着いてゆっくり呼吸するように指導します。

患者さんのもとへ到着したら、バイタルサインや酸素飽和度を測定し、医師に報告し、指示を受けます。

医師の指示により、酸素流量を調節します。

(2) 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)

① 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の目的

経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は、苦痛が少なく、摂食・嚥下のリハビリテーションが行いやすく、
介護者も簡単な栄養管理の方法です。
経口摂取(食べ物を口から食べること)ができない患者さんの栄養補給や、
栄養状態の維持、改善のために行います。

② 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の方法

経皮内視鏡的胃瘻造設術は、内視鏡を用いて腹壁と胃内腔の間に瘻孔を形成し、
胃瘻カテーテルを挿入します。
カテーテルは抜けないように胃内固定板と体外固定板で止めます。

胃内固定板: バルン型とバンパー型があります。
体外固定板: チューブ式とボタン式があります。

胃瘻カテーテルは、胃内固定板と体外固定板の組み合わせで4種類あり、
カテーテルの型によって管理方法に違いがあるので確認し、看護を行います。

(3) バルン型カテーテル交換

●バルン型カテーテル交換に必要な物品

新しいカテーテル、10ml注射器2本、キシロカインゼリー、
注射用蒸留水5~10ml(指示量)、手袋、ビニール袋

●バルン型カテーテル交換の方法

① 瘻孔周囲を清潔にします。
② 注射器に蒸留水を指示量吸い、新しいカテーテルに注入して破損がないかどうか確認します。
③ 蒸留水を注射器に戻します。
④ 別の注射器で挿入されているカテーテルの蒸留水を吸い取り、
 ゆっくりカテーテルを抜いてビニール袋に入れます。
⑤ 瘻孔周囲が汚れていたら、ウエットティッシュなどで拭き取ります。
⑥ キシロカインゼリーを新しいカテーテルの先端に塗り、ゆっくり瘻孔に挿入します。
⑦ 注射器の蒸留水を注入します。
⑧ 瘻孔周囲を清潔にし、胃液の逆流がないかどうかを確認します。

(4) 栄養剤の注入

●栄養剤の注入に必要な物品

指示量の栄養剤、白湯、イルリガートル、ボタン型カテーテルの場合は接続チューブ、
内服薬、20~50mlの注射器もしくはカテーテルチップ

●栄養剤注入の手順

① 患者さんを30°ギャッチアップ、もしくは車椅子乗車の90°にします。
② 口腔・鼻腔一時吸引が必要であれば行います。
③ 栄養剤を電子レンジなどで温めます(400ml以上は半量ずつ、4時間以上かかる場合は常温に温めます)。
④ 栄養剤をイルリガートルに入れて、チューブの先端まで満たします。
⑤ チューブを患者さん側につなぎます。
⑥ クレンメを開いて速度を調整します。速度は一時間あたり100~400mlが基準です。
⑦ 栄養剤投与が終了したら、白湯を20~30ml程度流して管内をきれいにします。
⑧ 内服薬がある場合は、白湯で内服薬を溶かして、最後に白湯を注入します。

(5) 指導内容

① 胃食道逆流予防のために、栄養剤を投与するときには、30°~90°程度にギャッチアップします。
② 胃内固定版(バンパー)の圧迫によって、胃壁に血流障害が起き、
 壊死をおこしてバンパーが胃壁・腹壁内に埋没する合併症「バンパー埋没症候群」の予防が必要です。
 バンパー埋没症候群の予防をするため、毎日外部バンパーを90°回転させます。
③ 下痢症状がみられたら、栄養剤の投与速度を100ml/時間に調整します。
④ PEG造設後、一週間くらいでシャワー浴ができるようになり、2週間で入浴ができるようになります。
 そのままの状態で湯に浸かり、石鹸で周囲を洗って、タオルで拭き、自然乾燥します。
 消毒などはおこないません。
⑤ 抜去してしまったときは受診してもらます。閉塞時は白湯を注入し、開通しない場合は入れ替えます。

FX